LENCHI_第二章 デジタルツールで知的生産を加速する
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「エンジニアの知的生産術」第5章で、膨大な情報をまとめる方法としてKJ法を紹介しました。KJ法は情報を耕し、アイデアが芽生えやすい土壌を作る、仮説生成のための強力な手法でもあります。客観的に分類するのではなく、主観的に関連性を見出していくことが、新しいアイデアを生み出すために不可欠だと説明しました。
ここで、「エンジニアの知的生産術」のp.176で言及されている「電子化」の話題に触れておきましょう。従来のKJ法では、情報を書き出した付箋を机に広げ、手作業で配置していきます。これをデジタル上で行えるようにしたのがKozanebaです。「エンジニアの知的生産術」の執筆後に筆者が開発しました。KozanebaによるKJ法の電子化は、アイデア創出の効率を大きく高めてくれました。(*1)
一方、生まれたアイデアを育てるフェーズでは、「エンジニアの知的生産術」のp.171で提起されている「中断可能な設計」の考え方が重要になります。アイデアの熟成には、時間をかけて断続的に思考を重ねることが欠かせません。そのためのツールとして注目したいのがScrapboxです。断片的なメモを気軽に書き留められるだけでなく、メモ同士を柔軟に関連づけて構造化していくことができます。ふと浮かんだアイデアの種をいったん放り込んでおき、後からじっくり見直して磨き上げる。そんな反復的な思考プロセスを、Scrapboxは自然にサポートしてくれるのです。
Kozanebaによる電子的なKJ法と、Scrapboxによる中断再開可能な育成プロセス。この2つのツールを適材適所で使いこなすことで、LLM時代の知的生産に求められるアイデア創出力を飛躍的に高められるはずです。次節では、私自身がこれらのツールを使って知的生産を実践している様子を具体的にお見せしていきます。
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(*1):
nishio.icon「エンジニアの知的生産術」の見出し
繰り返していくことが大事
KJ 法を繰り返す
過去の出力を再度グループ編成
電子化
「過去の出力を再度KJ法したい」というニーズに迫られたが、紙でKJ法をやっていたのでは過去の成果物の再利用が困難だった。そこで電子的にKJ法を行えてデータがクラウド保存されるソフトウェアを作った。